音楽葬は、宗教色のない自由葬のひとつで、読経の代わりに音楽で故人を見送るスタイルの葬儀です。特定の宗教にとらわれず、故人が好きだった音楽や思い出の曲を流すことで、個性や人生を象徴するあたたかな時間をつくることができます。
一般的に「自由葬」は形式にとらわれず柔軟に構成できるスタイル全体を指しますが、その中で「音楽を主軸にした形式」が音楽葬と呼ばれます。

無宗教の葬儀を希望される方や、「音楽が人生の一部だった」という方に選ばれることが多く、目黒区でもご相談件数が増えてきています。

音楽葬は、故人らしさを大切にした進行が特徴です。一般的な流れとしては、まず斎場と葬儀社を選び、葬儀プランや使用楽曲を打ち合わせます。会場にはスピーカーや演奏設備を整え、CD再生や生演奏で音楽を届けながら式を進めます。

仏式葬儀と違い、読経や焼香が必須ではありません。かわりに、スライドショーを流したり、親しい方が故人のエピソードを語るなど自由な演出ができます。
また、使用する楽曲の著作権管理にも注意が必要です。JASRACなどへの申請が必要な場合もあるため、葬儀社と事前に確認しておきましょう。

音楽葬の費用は、内容や演出の規模によって大きく異なりますが、一般的には30万円〜200万円程度が相場です。生演奏を依頼する場合は演奏者への謝礼が必要となりますが、CD再生などであれば比較的コストを抑えることが可能です。

また、演奏者を外部から募集したい場合や、ピアノ・弦楽器などの生演奏を検討する際は、斎場の設備と搬入可能かどうかを事前に確認しておくと安心です。演奏者募集は地域によって対応が異なるため、地元に強い葬儀社に相談するのが最も確実です。

はい、音楽葬でも基本的には通常の葬儀と同様のマナーが求められます。服装は喪服を着用し、男性はブラックスーツ、女性は黒のアンサンブルが一般的です。
また、香典も用意するのがマナーです。表書きは宗教にとらわれない「御霊前」または「御花料」などが選ばれます。

ただし、式の雰囲気によってはカジュアルな服装を指定される場合もありますので、事前にご遺族または葬儀社に確認するのが望ましいです。「音楽葬はカジュアル」と思い込まず、確認してから臨む姿勢が大切です。

基本的に音楽葬では、故人やご遺族が希望する楽曲を自由に選ぶことができます。しかし、「葬式で流してはいけない曲」とされるものや、歌詞やタイトルに極端にネガティブな要素がある曲は避けた方が無難です。

たとえば失恋をテーマにした曲、暴力的な表現のある楽曲、死を茶化すような歌詞などは、参列者に誤解を与えたり、気分を害する可能性もあるため注意が必要です。
クラシック音楽やインストゥルメンタル、または「ありがとう」や「千の風になって」のような定番楽曲は、多くの方に受け入れられやすい選択です。

選曲に迷う場合は、過去に音楽葬の実績がある葬儀社に相談すると、選ばれている曲ランキングや実例も紹介してもらえることがあります。